
2025年大会で大会2勝目・ツアー通算6勝目をあげたツアー穴井詩プロと、ヤマハ用具契約プロでツアー14勝の有村智恵プロ。ふたりは1987年11月生まれの同級生です。
穴井プロは10年以上にわたりJLPGAツアーの第一線で活躍し、有村プロは米国ツアー参戦から結婚・出産を経て、昨年の本大会でツアー復帰を果たすなど、歩みはそれぞれですがプロゴルファーとして同じ時代を歩んできました。そんなおふたりに、本大会や現在、そしてこれからのことについて、大会開幕前にお話を伺いました。

─穴井プロは昨年全美貞プロとのプレーオフを制しての優勝でしたが、どんな試合でしたか
穴井 最終日最終組で、出場選手のなかで年齢が上から1、2、3番目(全美貞・藤田さいき・穴井詩)とすごかったですよね。それだけでも楽しかったんですが、まさか大先輩とプレーオフまでいけるとは思っていなかったです。
─2023年優勝もささきしょうこプロとのプレーオフでした。プレーオフに強いのか、コースのイメージがよいのか、どういう気持ちで葛城に挑んでいるのでしょうか
穴井 毎年コースコンディションが素晴らしくて、セッティングも素晴らしくて。いま持っている技術を全部出し切らないとどうにもならない、やってきたことがすべて試される戦略性が高いコースだと感じています。
─飛距離が有利だといわれるコースでもありますが、実際そう感じる部分はありますか
穴井 ロングホールに関しては、飛ばしていってセカンドで乗せられればすごく有利だと感じます。
─ドライビングディスタンスは、2017シーズンが255.16ヤードで、昨シーズンは261.23ヤードと飛距離が伸びています
穴井 それはたまたまで伸びている気はしないんですけど。でも20代の頃よりは真面目にトレーニングをしています(笑)。やらないといけないという気分になっているのもあります。
─有村プロは、日本で活躍されて米ツアーに参戦し、結婚・出産されて、昨年の本大会でツアーに復帰されました。現在はどのような気持ちで試合に臨まれているのでしょうか
有村 モチベーションの上下はありますが、気持ちはずっと変わっていないです。うまく打てなかった時の悔しさ、うまく打てた時の快感は昔から変わらずあります。特にこのコースはそれが顕著に出ます。いいショットを打ったらいい結果になるし、少しでもミスヒットや変な入り方をしたら、ボールが転がり落ちたり跳ねる方向が悪かったりします。
そこがやりがいになっているというか、いつも「このコースでどんなゴルフができるのかな」という挑戦心でやっています。年や慣れは関係なく、毎年「ここで何ができるかな」という気持ちで、この場があることが自分を奮い立たせてくれる部分があるのかなと思います。

─昨年は出産後の復帰戦という位置づけでしたが、今年は気持ちの変化はありますか
有村 すごくあります。去年は初めて子育てしながら大会に出るということで、毎週試合をやらずに試合に出る経験がなく、リズムだったり、どんな心持ちで、どんなルーティンで何をしたらいいのかがわかっていませんでした。去年いくつか試合に出て、少しずつ慣れてきていて、今年は落ち着いて試合に挑めるかなと思っています。
─復帰されてどういうプレーや結果を求められていますか
有村 結果という部分では順位になりますが、去年は怪我が多くて、痛みなくプレーするのが目標でした。今年は今のところ怪我もなく練習もできています。結果もそうですが、自分が打った瞬間に気持ちよく打てたと思えるショットやパットをどれだけ出せるかにこだわりたいです。
毎週やっている選手たちと戦おうと思うと、引け目を感じる瞬間もあるし、この子たちのゴルフには敵わないなと思う瞬間もありますが、満足だと思えるショットを続けていけたら、このコースでもアンダーが出せる感触はあります。そこにフォーカスしながらやっていきたいと思っています。
─穴井プロは若手の選手たちに対して「負けてたまるか」という思いはありますか
穴井 そこまで熱いわけではないですけど(笑)、頑張りたいなとは思います。むしろ若い選手からは、アプローチのテクニック、パッティング、曲がらないドライバーなど、「勉強になります」みたいな点がたくさんあります。それをどうやって自分の中に差し込むかですね。
有村 ライバル視はしたことないですよね。「ああ、これはそうやって打つんですね」みたいな感じで、うちらが後輩みたいな感覚だよね(笑)。
─若い選手も先輩もお互いに切磋琢磨してリスペクトし合っているんでしょうか
有村 それは感じます。私たちが若手の頃は「正解ってなんだろう」と思いながらいろんなところに聞きに行ったり、探ってみながらしていました。今はいろんな情報が出ていて、正解を知った上で練習している子たちがどんどん出てきている。私たちが知らないことも増えてきて、「それ何?」と思う場面が多くなっています。
たくさんいい学びがあるし、自分たちの方がたくさん知っている感じはほぼないです。「世の中にはこんな理論やこういうトレーニングがあるんだ」と若い子たちの方が取り入れるのは早いですから、頑張って早くそこに追いつかないと、という感じです。
─後輩に質問されて教えていることなどはありますか?
有村 ある?聞かれているイメージないけど(笑)。
穴井 失礼だなぁ〜(笑)。確かにあまりないですけど、同じチームGOLF5のメンバーの中で教え合ったりはあります。
有村 私も聞かれているのかもしれないけど・・・。ただ、理論はみんな持っていますが、「勝負感」みたいな、試合では理論じゃない部分がたくさんあるので、そういう時の考え方、イメージの作り方、勝負どころでのマインドは、経験値が生きてくる部分かなと思います。特にこのコースは、シンプルなゴルフよりイメージや感性の部分が生きてくる。だからこそベテランの選手、詩ちゃんとか、去年の最終組が生まれるのかなと思います。
ちなみに、グリーンで上りと下りで打ち方を変えたりとかある?感覚でやっているの?
穴井 ここだからというわけではないけど、そんなに複雑にはせず、ひたすらシンプルに。でも下りは右体重にしてるかも。
有村 なるほど。「下りだからこうしよう」ではなく、感覚的にこっちの方が落ち着くなと思って構えている感じだよね。
穴井 そうそう。
有村 そういうのをやっているなと見ていて思っていましたし、葛城は本当にそういう技が光るコースだなと思います。
─穴井さんは直近の試合の状態はいかがですか。オフはどのような取り組みをされたのでしょうか
穴井 今のところ戦績はトップ10か予選落ちの二択なので(笑)。極端ですが、いい方に転べばいいなと思います。オフは1ヶ月ほど宮崎で合宿して、毎日トレーナーさんと向き合って頑張りました。フィジカルもやって練習もして。
でも、オリンピック選手のトレーニングを見たら、私たちのやっているのはトレーニングと言っちゃいけないなと思いました。私らのやっているのはアップだなと(笑)。
有村 他のアスリートのアップを見て「あれ、私たちがオフにハーハー言いながらやっているやつじゃん」と思うこともあります。でも、ゴルフは競技が違うし、いろんなことをやらないといけないですからね。トレーニングのようなフィジカル的な割合と球を打つ割合は変わってきたの?
穴井 昔はオフはフィジカルが4分の3だったけど、それが半分になって、球を打つ時間が半分になりました。
有村 私は逆ですね。トレーニングは強化というイメージですが、まず体を整えて、いいポジションに持っていって、そこから強化して、最後にスピードトレーニングをする。強化の部分に行くまでに時間をかける。
穴井 うん、大事よね。
有村 球を打つ時間より体にかける時間の方が長くなっているのに、球打つ時間を増やせているのはすごいよね。体のことで悩んだことはあまりない?
穴井 うん。いいのか悪いのかわからないけど(笑)。
有村 トレーナーさんともいい関係で長く向き合ってきたのだろうし、詩ちゃんはその辺の感覚的にも長けているんでしょうね。「これはやった方がいい、やらない方がいい」と精査できないと、この年までしかもドライビングディスタンスで1、2位を争うようなことは。しかもこの人は試合を休まない!怪我なく、体の悩みなくできるのは感覚が優れているのだと思います。
─最後に、葛城でどんな戦いを見せていただけるのか意気込みをお願いします
穴井 見ている人がワクワクできるようないい戦いをしたいと思うんですけど、そんな余裕もないくらい打ちのめされると思うので、それを覚悟しながら楽しみたいと思います。
有村 私も少しでも盛り上げられるように頑張りたいと思います。詩ちゃんが頑張っている姿を見て、年齢を言い訳にしちゃいけないなと毎回思わされます。今の自分にできることを一生懸命やって、少しでも上の順位で終われるように頑張りたいと思います。

(インタビュー/廣兼 祐介、文・写真/菅沼 昌喜)